先日、ある取材で「フリースクールや不登校支援の未来はどうあるべきだと思われますか?」という質問をいただきました。
改めていろいろ考えてみたのですが、回答した内容が全部記事になるか分からないし、伝わるように端的にしか回答しなかったので、ブログにも記録しておくことにしました。
不登校にもさまざまな理由があり、どう対応すべきかもそれぞれだと、多くのお子さまに接してきた中で感じています。
一人一人の個性・特性・状況に応じた支援をすることがベスト、ではあるのですが、「不登校支援」全体として目指すべき未来は何なのでしょうか。
不登校の原因あれこれ
私が過去に出会った不登校の原因を挙げてみます。
- 起立性調節障害
- 発達障害(特性がきっかけで学校生活にしんどさを感じる)
- 担任と合わない、担任の言動に強い違和感を感じる
- 友達との人間関係、トラブル
- 自らの持病や家族の難病などがありコロナ感染リスクを避けるため
- 家庭の方針でオルタナティブスクールやホームスクーリングを選択
- 親が学校や先生と合わない
- 本人が学校での勉強の必要性を感じない
- 病気等で長時間イスに座ったり立ったりができない
ぱっと今考えただけで、こういった原因を思い浮かべました。
全て、実際に過去に接したご家庭のケースです。
学校に行きたいけど行けない子もいます。学校に絶対行きたくない子もいます。親が行くなと言うから行けない子もいました。
これらを全部「不登校」とひとくくりにしていいのでしょうか?
「不登校支援の未来はどうあるべき?」の問いを考えたときに、最初に浮かんだのがこのことでした。
なぜ不登校支援が必要なのでしょうか
「支援」というのは、困っていて助けが必要な人がいる場合に出てくる言葉です。
つまり、不登校状況の児童生徒、保護者は困っている、ということなのかなと思います。
実際、お話しする保護者の方は皆さん、困り感を抱えています。
「学校に行きたいのに行けなくて苦しんでいるので何とかしてあげたい」「学校に行かないのはいいけど、勉強は最低限ついていってほしい」「部屋に閉じこもりコミュニケーションが取れない」「ゲームばかりしていて心配」「学校へ毎日の欠席連絡することや学校からあれこれ言われるのがつらい」「家にいる子にあれこれ言いたくないけどつい言ってしまう」
その困りも多種多様です。
では、不登校の子どもたちは、何で困っているのでしょうか?
これは、子どもたちがうまく自分の気持ちを言葉にできないケースも多いので、直接聞いたことのあるものだけになりますが…
「学校に行かなくちゃいけないのは分かっているけど、行こうとすると〇〇が痛くなる」「勉強したほうがいいのは分かっているけどやる気が起きない」「先生から学校に来いと何度も声をかけられてどうしていいか分からない」「みんなができていることができないのは、自分が劣っているんだ」
他のケースもあると思いますが、「同年代のみんなができている行動」ができない自分を否定してしまうパターンが多いように感じます。
わが子が「不登校」でなければ、不登校保護者の悩みはなくなります。
(もちろん、他の思春期子育てにおける悩みはなくなりませんが…)
わが子が学校に行けなくても、楽しく元気に過ごしていて、みんなと同じように将来を歩んでいくのであれば、不登校保護者としての悩みは軽くなるかもしれません。
子どもたちや周りの大人が、「学校に行かなくちゃいけない」「勉強を毎日やらなくてはいけない」、この考え方を取り払うだけでも、不登校の子の不安は軽くなるかもしれません。
そうやって不登校児童生徒、保護者の困り感を取り除けるよう働きかけていくことが、今できる「不登校支援」なのかなと考えました。
私の結論:不登校支援の未来
そうやってあれこれと考えて、「不登校」という言葉が不要になる社会が、不登校支援の未来なのではないかというのが、私の現時点での結論となりました。
「毎日決められた学校に通い・席に座って一律の授業を1日中受けることが必須」といった古くからの義務教育が変わっていくのが一番いいのかなと。
学校での集団活動、学校教育になじめない場合に、学校以外の教育の場を自由に選択できるようになり、学校に通っていない子が「不登校」というカテゴリにくくられなくてすむような社会になれば、不登校支援自体が不要になるでしょう。
リアルのフリースクールに居心地の良さを感じて、学校には通えなくてもフリースクールで毎日過ごす子もいます。
フリースクールまで通うのも、身体的事情や特性で難しく、オンラインフリースクールに居心地の良さを感じる子もいます。
フリースクールなどに通わなくても、勉強や趣味などの得意なこと・好きなことを大人顔負けのレベルで学んでいる子もいます。
今の学校教育制度では、フリースクール等学校以外の場所で学んでいる子が、進路において不利な面がまだあります。
どういった学び方をしても、同じスタートラインで義務教育終了後の進路を選べるような仕組みを考えていく時期が来ているのだと思います。
自治体によっては、「不登校」が不利にならないような高校入試制度改革を進めているところもあります。
そういった取り組みが国主導で、全国で進んでいき、「学校に通わなくても不登校とされない」「学校以外で中学時代を過ごしても受験で不利にならない」社会が、遠くない未来に訪れるといいなと思います。
大きな未来も描きつつ、WIALISの生徒たちをサポート
WIALISオンラインフリースクールでは入会前に不登校となったきっかけなども含めてヒアリングさせていただいています。
最近は「原因やきかっけがはっきりしない」ケースもよく聞くようになりました。
何となく教室で過ごすことに違和感を感じたり、周りの先生や友達とのコミュニケーションで無理をしていたりしているのかなと思います。
そういう子は、WIALISのバーチャルキャンパスでは周りのみんなと積極的にコミュニケーションを取ったり、自らその日やる活動を決めて計画どおりに学習したり、「勉強は嫌だ!」と言いながらもサポートクルーの授業には参加してくれたり、「普通に」キャンパスライフを送っています。
そして保護者の方からも、「毎日楽しみにパソコンを開いてキャンパスにアクセスするようになりました」という言葉もいただくようになりました。
このフリースクールでの活動は、在籍校での出席としていただけています。
・・・ということは、もう「不登校」ではないのではないか? 学校に通っている子と何が違うのか? そう思わざるをえません。
WIALISの想いは、個にできるだけ応じたサポートをしながらも、最終的に目指すのは「学校に通っている子と変わらない将来を思い描く」ことです。
不登校という言葉がなくなる未来を思い描きつつ、まずは目の前の生徒たちの困り感をなくし、一歩先の未来を一緒に見つめ続けていきたいと思います。